会社員の夫が亡くなってしまった場合、遺された妻は遺族年金を受け取ることも多いでしょう。夫が生前受給していた年金が繰上げ受給で減額されてしまっていると、その分遺族年金も少なくなってしまうのでしょうか。
60歳で繰上げ受給を開始した夫
40年近く会社員を続けている学さん(仮名・62歳)と、学さんの扶養に入りパート勤務をする妻の晶子さん(仮名・58歳)。学さんは60歳以降も会社で引き続き働いていますが、学さんは本来65歳から支給される老齢基礎年金・老齢厚生年金を60歳になってすぐ繰上げ受給をしました。
繰上げしようとするにあたって晶子さんは「繰上げなんかして大丈夫なの? 65歳から受け取るより年金少なくなるんでしょ?」と不安を隠せませんでした。
これに対し学さんは「60歳になって賞与も少なくなったし、年金収入があればこれを補える。制度改正で、繰上げの減額率は1カ月0.5%から0.4%になったから、繰上げしてもあまり減らされなくなるみたいだよ」「引き続き働いて給与があっても俺の場合、年金は特にカットもされてないようだし。それに年金は受け取れる時に受け取っておいたほうがいいと思うんだ」と言います。
心配性な晶子さんでしたが、結局、学さんの年金については学さんの意思に任せることになり、学さんは5年の繰上げにより24%(0.4%×60カ月)減額された年金で受給を始めました。しかし、繰上げをして2年後、在職中だった学さんは突然、心筋梗塞で他界してしまいました。