ポートフォリオの緩衝材に「高配当・連続増配株式」
高配当株式と連続増配株式は、「聞いたことはあるけれど、違いがよく分からない」という声を耳にすることが多かった。
前述のインド株式ファンドが「攻め」の資産なら、高配当株式や連続増配株式はいずれも、「守り」の要素が強い、株式市場の下落局面で下値抵抗力を発揮するタイプの資産と言える。高配当株式と連続増配株式は、同じカテゴリーに属する資産ではあるが、その性質は微妙に異なる。
高配当株式とは、株価に対する配当金の割合(配当利回り)が高い銘柄を指す。配当利回りは「一株当たり年間配当金÷現在の株価×100」という計算式で算出され、3%以上の銘柄を高配当株と表現することが多い。業種としては、電気・水道・ガスなどのインフラ関連、製薬・医薬品、銀行などが含まれる。
これに対し、連続増配株式とは、年間の1株あたりの配当金額が増え続けている銘柄を指す。先の高配当株の場合、業績が振るわないと配当を見送ったり、減配したりすることもあるが、連続増配株式は、1株あたり利益が減少しても配当が毎年増額することから、株主還元に対する意識がより高いという見方もできる。主に米国では、25年以上連続増配の銘柄は「配当貴族(Dividend Aristocrats)」、50年以上連続増配の銘柄は「配当王(Dividend Kings)」と呼ばれ、投資信託やETFを通じて投資できる。
●「高配当株」と「連続増配株」の違い
高配当株式と連続増配株式には共通の銘柄も多いが、連続増配の方が下落局面でより強固な下値抵抗力を発揮する傾向にある。2024年の米国株式市場は、ハイテク株を中心とした成長株優位の相場が続いたため、連続増配の成績は振るわなかった。しかし、今後長期にわたり資産形成を続けていく上ではポートフォリオの「緩衝材」としての機能を発揮する場面も訪れるだろう。
以上見てきた通り、インド株式も高配当・連続増配株式も、S&P500や「オールカントリー」などといっしょに保有しても「不協和音」が起きにくく、相性はむしろ良い。2025年のNISA戦略を検討する上で参考にしてほしい。