優良なアクティブファンドも多い「インド株式ファンド」

長期資産形成を実践する上では、「リスクは取れるうちに取っておく」という考え方も大切だ。その意味で、新NISA元年に投資先としてインドに注目が集まり、実際にインド株式ファンドの資金流入が増えたのは良い傾向であったように思う。

●インド株式ファンドの純資産残高推移

※QUICKのデータを基に楽天証券資産づくり研究所作成

NISA元年の大ヒット商品となった「オールカントリー」が連動を目指すMSCIオールカントリー・ワールド指数は、定義上は新興国を含む全世界の株式を網羅した株式指数である。しかし、時価総額加重ベースゆえ、実態としては米国が全体の6割超を占め、インドの割合はわずか2%程度にとどまる。指数の特性上、将来の成長性や期待値は加味されていないため、インドの将来性に期待し、先回りして投資をしたいなら「オールカントリー」のような広域の株式インデックスに追加する形でインド株ファンドを取り入れることをおすすめしたい。

人気の中心はインド株式市場の代表的な指数であるNifty 50(ニフティ・フィフティ)をベンチマークに掲げたインデックス型だが、実はインドを含む新興国株式は、インデックスを上回る成績を収めている優良なアクティブファンドが多い。米国株式のように、一部の銘柄群が株式市場全体を事実上「支配」するような状況にはなく、運用者の目利きが機能する余地が残されているためだ。また、新興国投資においては、投資先企業のガバナンスリスクを見極める必要もあることから、投資先の質を維持するという面でもアクティブファンドは有効である。

インド株式市場は、10月以降軟調な動きをしており、現状では「高値づかみ」の状態になっている投資家も多いと思われる。このように、新興国株式特有の価格変動の大きさがあるからこそ、積立による時間分散も同時に実践することが望ましい。国の成長を見守るつもりで、長期投資を心がけてほしい。