各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、マネックス証券のデータをもとに解説。

マネックス証券の投信売れ筋ランキングの2025年7月のトップは前月と同様に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第2位には前月第4位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が浮上した。前月第2位だった「楽天日本株4.3倍ブル」は第3位に、第3位だった「楽天・日本株 3.8倍ベアIII」は第4位にそれぞれ後退した。前月は第5位だった「日経225ノーロードオープン」が第6位に、第8位だった「iFree 日経225インデックス」が第10位に後退するなど、国内株インデックスファンドがランクダウンした。一方、「iFreeNEXT FANG+インデックス」が前月第9位から第8位にランクアップ、トップ10圏外から「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第9位にランクインした。

 

楽天日本株「ブル」「べア」に見る“レバレッジ”の難しさ

マネックス証券の売れ筋ランキングで上位にある日本株のブル・ベア型ファンドは、4月の株価急落時には大きく動いたものの、7月に入ってからは株価の落ち着きとともに「ブル型」のジリ高と、「ベア型」のジリ安という動きに収れんしてきた。国内株式インデックスは「日経225」が4月の急落後はジリ高歩調で動いているだけに、「楽天日本株4.3倍ブル」や「SBI 日本株4.3ブル」にとっては比較的安心感をもって保有できる環境にあるのかもしれない。

「楽天日本株4.3倍ブル」は、4月の株価急落時には、基準価額が7944円(4月7日)まで落ち込んだ。2024年12月末時点の基準価額は2万6319円であったため、年初来の下落率は約70%に達したことになる。この同じタイミングで「楽天・日本株3.8倍ベアIII」の基準価額は1万3735円に跳ね上がった。昨年末が6127円だったため、年初から3カ月余りで2.24倍に上昇した。その後は、国内株価がジリジリと上昇を続けたため、「ブル型」は7月末の基準価額が2万3534円まで上昇した。安値から2.96倍になった。半面、「ベア型」は7月末に基準価額が3689円まで下げている。高値からの下落率はマイナス73%を超えた。

結果的に、2024年12月末を基準とすると、7月末時点で基準価額の水準が最も高いのは「日経225ノーロードオープン」ということになる。インデックスファンドの「日経225ノーロードオープン」のみが昨年末水準を3.54%上回っている。「楽天日本株4.3倍ブル」は昨年末比でマイナス10.58%、「楽天・日本株3.8倍ベアIII」はマイナス39.79%という水準にある。ブル型・ベア型ともに約4倍のレバレッジをかけたファンドだけに、その値動きは非常に大きくなる。株価の「下落」や「戻り」などに確信をもって投資できるものであれば、短期間で2倍化を実現できたが、よほど市場の動きに機敏に反応できなければ十分なリターンを稼ぐことは難しかったように感じられる。むしろ、単純なインデックスファンドを保有し続けた方が着実な収益につながったようにもみえる。レバレッジ型のファンドに興味・関心がある投資家にとっては、その値動きの特性を経験できる良い機会になったといえるだろう。