自宅の寝室で、倫子は険しい表情でスマホの画面を見つめていた。毎晩、家計簿アプリを付けるのが習慣となっているが、ここ最近は見ていても気がめいるばかりだ。

42歳の倫子は、昨年夫と離婚をし娘の真悠と2人で生活をしている。夫とは長い間、仮面夫婦のような状態で、いつでも離婚をして良いという状況だった。だから、離婚の話し合いはとてもスムーズに進み、真悠の親権は倫子が取得。夫は毎月5万円の養育費を払うことになった。

離婚後、夫は欠かさず5万円を振り込んでくるが、生活はやはり苦しかった。

真悠は現在12歳で、中学受験を控えている。私立の中学に通わせて、大学まで私立に通うとなると合計で1500万ほどかかると言われている。奨学金や学資ローンを使ったとしても、今のままではいつか家計が破綻してしまう。

どうにかしなければと夜な夜な頭を悩ませているが、いまだにその答えは導き出せていなかった。