孤立→詐欺被害多発 有名人名乗る人物要注意

孤立する高齢者。高まる投資意欲。そのためか、トラブルに巻き込まれる割合も高い傾向にある。

警視庁の統計によると、特殊詐欺の認知件数は65歳以上の高齢者の場合は1万4878件と、総認知件数(法人被害を除く)の78.4%にあたる。

なかでも、森永卓郎氏や堀江貴文氏、前澤友作氏などといった有名人を語る「SNS型投資詐欺」の被害がいま、世間をにぎわせている。高齢者は特に、詐欺のターゲットになりやすい。

 

直近では、今年5月、兵庫県内に住む70代の男性が、SNS上で著名な証券アナリストを名乗る人物からうその投資話を持ちかけられ、約6億6000万円をだまし取られたことが明らかになった。

ほかにも4月には、茨城県に住む70代の女性が、著名な経済アナリストをかたる人物から約7億円を騙し取られた。億単位だけではなく、数千万、数百万の被害事例は全国にいとまがない。

2024年の1月から7月にかけて警察庁が認知しているSNS型投資詐欺は4099件で、被害額は約580億4000万円にも上っている。

これらの被害はSNS上にあるインターネット広告がきっかけとなることが多い。政府は6月に詐欺被害防止のための総合対策をまとめ、広告を出す人の本人確認や、事前審査の強化などを事業者に求めている。

警察庁が入る中央合同庁舎第2号館

警視庁の関係者は「孤立してるからこそ、誰にも相談できなくて被害を受けてしまう高齢者が増加している。事業者もなかなか詐欺広告の対応に、積極的な姿勢を示さないのも現実。なにか怪しいと思ったら、消費者ホットライン(188番)や金融サービス利用者相談室に気軽に電話をかけてほしい」と警鐘を鳴らした。