2024年中に新NISAで金融商品を購入した全国10代~70代の男女7610人を対象に日本証券業協会が実施した調査「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」では、新NISAの購入・売却金額や銘柄数、購入・売却商品の理由や損益などを聞いている。そのうち60代に絞った「つみたて投資枠」での投資額について傾向を見ていこう。

【男性60代】つみたて投資枠は上限いっぱい「120万円」の利用が1位

男性60代のつみたて投資枠の購入金額は、非課税投資枠の上限額「120万円」が23.6%と最も多かった。非課税メリットを最大限活用している傾向が見られる。

以下、「20万円~40万円未満」13.0%や「40万円~60万円未満」11.0%など、幅広い金額帯に分布していることも特徴だ。雇用形態の多様化によって、60代は現役世代と年金受給世代が交錯する年代。ゆえに、この結果からは投資に対する考え方にも差異があることが見て取れる。

 
出所:日本証券業協会「新NISA開始1年後の利用動向に関する調査結果(速報版)」
 

男性60代「つみたて投資枠」購入金額ランキング

1位 120万円 23.6%
2位 20万円~40万円未満 13.0%
3位 40万円~60万円未満 11.0%
4位 5万円未満 10.4%
5位 5万円~10万円未満 10.2%
6位 10万円~20万円未満 9.5%
7位 60万円~80万円未満 8.4%
8位 100万円~120万円未満 7.5% 
9位 80万円~100万円未満 6.4%
 (n=453)

60代男性のつみたて投資枠の平均購入金額は60.1万円。最も多い「120万円」は4人に1人の割合で、全年代の男性で最も高額投資が目立つ。この層は上限額いっぱいで利用しており、非課税メリットを最大限に活用しようとする意識が強い。

以降の積立金額はいずれも10%前後で続く。2位「20万円~40万円未満」、3位「40万円~60万円未満」は、毎月1万~5万円程度を積み立ててているイメージとなる。次いで「5万円未満」「5万円~10万円未満」も約1割ずつおり、とりあえず少額投資から始めたのではないかと推測できる。

なお、全体の投資額が高いことから資産運用に対する積極的な姿勢が伺える。リスクを取る意欲が高く、長期的な資産形成を目指す傾向が見られる。

また、60代というと人によっては既に年金を受給している年代だ。その年代であれば資産の取り崩しが現実的になる段階でもあり、安全資産とされる預貯金や債券などに資産の大部分を移しつつあるという人もいるだろう。とはいえ新NISAが始まってからは、その蓄えてきた資産、あるいは年金の一部から積立投資に振り向けている人もいることだろう。