3月は旅立ちの季節です。夏目加奈子さん(仮名)も、この3月、定年という会社員人生の節目を迎えます。継続雇用で勤務は続けますが、1000万円という退職金を手にすることになり、預け先に悩んだ夏目さんは信用金庫で勧められた投資信託とスーパー定期のセット商品のパンフレットを持ち帰りました。しかし、投資家の夫から「本気で買うつもりか?」と鼻で笑われ、すっかり意気消沈してしまいます。「何も知らず信用金庫の人の言葉を鵜呑みにした自分が恥ずかしかった」という夏目さんは、ライフプランや投資のことを学び直そうと意を決し、あるお金の専門家のもとを訪ねました。夏目さんが「私の大切な道先案内人」と話すその専門家との出会いややり取りを振り返ります。

〈夏目加奈子さんプロフィール〉
埼玉県在住
60歳
女性
会社員
会社員の夫、社会人の長女と3人暮らし
金融資産3500万円(世帯)

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都内の短大を卒業し小さな専門商社に入社してから早40年、この3月に定年を迎えます。よくぞこの年まで大病もしないで勤め上げたものだと思います。

入社当時の定年は55歳でしたが、新入社員の私にとってははるか遠い未来のことのように思えました。私の世代は寿退社が当たり前で、私も30歳の声を聞く前には会社を辞めて専業主婦になっているはずでした。振り返れば、誤算だらけの人生です(笑)。