少子高齢化が大きく進んだ現代の日本では、ひとりきりで最期を迎える事態は決して珍しくありません。そのため自分で意思決定できなくなったとき誰に委ねるか、どのように判断してもらうかをきちんと考えておく必要があるでしょう。

話題の書籍『あなたが独りで倒れて困ること30』では、お金や健康など独身者を襲うリスクや「おひとりさま時代」を生き抜く具体的なヒントについて、司法書士の太田垣章子氏がやさしく解説。今回は本書の『はじめに』、第1章『おひとりさまリスク――「お金の問題」』の一部を特別に公開します。(全3回)

※本稿は、太田垣章子著『あなたが独りで倒れて困ること30』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。

自分の最期を、イメージしたことはありますか?

あなたは、自分が高齢者になった時をイメージできますか?
自分が意思決定できなくなる日のことを想像したことがありますか?
自分のパートナーが頼れなくなる時を想定していますか?
家族がいても「1億総おひとりさま時代」に生きていることを認識していますか?

私は司法書士として、住まいを中心に生活が立ち行かなくなった高齢者のサポートを20年以上してきました。そういった高齢者の方の中には、現役時代のままの高い家賃の住宅に住み続けて、滞納してしまう人がいます。高齢者は部屋を借りられないことを知らず、転居できなかったからです。

最後まで自宅で過ごしたいと施設入所を拒んでいたら、ゴミ屋敷になってしまった人もいます。介護サービスの枠を超えてしまい、月に40万円以上の費用がかかってしまった人もいます。

それでも自宅が最適ですか? 家はあるけど、現金がなくて生活が苦しい人。家は売れても、賃貸が借りられなければどうしますか? 奥さんが先に認知症になったら、自分の入院手続きを誰がしてくれますか?

あげ出したらキリがありませんが、私が関わった人たちは全員が何も備えていませんでした。その結果、たくさんの人たちがサポートせざるを得ませんでした。

でもこの先は違います。少子高齢化で、サポートする人手が足りません。

今の高齢者と、現役世代が高齢者になる時代と、置かれる環境は全く違うことになります。これからは「1億総おひとりさま時代」を生き抜かねばならないのです。でも誰もそこに気付いておらず何も備えていません。これは大変なことになる……。

そう懸念したからこそ、何を準備する必要があるのか、そのヒントをまとめました。