横浜銀行の売れ筋の2025年2月のトップは「eMAXIS 日経225インデックス」で、前月トップだった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第2位に後退した。また、前月第3位だった「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」は第4位に落ち、前月第4位から「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が第3位に浮上した。トップ5圏外から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型) 愛称:世界のベスト」が第5位に入った。「つみたて投資枠」の売れ筋上位には変化がなかった。
◆米国で高まるインフレ懸念
横浜銀行の売れ筋ファンドランキングで、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「インデックスファンドNASDAQ100(アメリカ株式)」といった米国株式インデックスファンドの順位が落ち、代わって「eMAXIS 日経225インデックス」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」といった米国以外の国の株式に投資するファンドの順位が上がっているのは、現在の投資家心理をよく表した動きといえる。今年1月のトランプ大統領就任以来の関税政策など、「米国ファースト」の政策が米国経済に与える影響を懸念する動きが高まっている。
米国の変化は、米ミシガン大学が発表している1年先の経済見通し調査にも表れている。たとえば、1年先のインフレ率を予測する期待インフレ率の値は、トランプ大統領が就任する2024年12月までは2.6%に低下していた。それが、2025年1月24日に3.3%に上昇し、2月8日には4.3%、3月14日には4.9%に上昇した。米FRBが政策金利を年5%台にまで引き上げてインフレ退治を行った効果を大統領就任後2カ月余りでほぼ吹き飛ばしてしまったことになる。この期待インフレ率は心理的な要素も強いが、実際のインフレ率に2カ月程度先行する指標として注目される指標だ。実際に2カ月後に5%近いインフレ率になるとは限らないが、これほど急速にインフレの見通しが強まると、FRBの利下げのペースが鈍化することは間違いない。
この米国のインフレ率の上昇見通しと金融引き締めという見方は、米国経済の減速に直結する悪材料とみなされる。実際に米国株価は2月19日に「S&P500」が高値を付けてから下落。「NYダウ」や「NASDAQ総合」は昨年12月に高値をつけて下落したままになっている。3月26日にはトランプ大統領が輸入自動車について例外なく25%の関税を課すと発表し、関税政策を一段と推し進めていく決意を示した。インフレ懸念が一段と高まる状況だ。それだけに、米国株式への投資を避けて、米国以外の国への投資に資金が動き始めていると考えられる。