将来不安と貯蓄の関係

人が貯蓄をする理由はさまざまだ。中でも病気になったときの医療費や介護費用、あるいは急に仕事を失って収入が減るといった事態に備えて、元気なうちにお金を蓄えておこうとする考え方があり、「予備的貯蓄」と呼ばれている。将来不安に備えるための貯蓄のことだ。

もしものために保険に入っておくような感覚にも近い。内閣府の最新調査※によれば、このような予備的な理由で貯蓄をしている人は、そうでない人よりも比較的貯蓄率が高い傾向にあることが分かった。

※内閣府「令和7年度年次経済財政報告」(2025年7月29日公表)

予備的貯蓄動機と貯蓄率

予備的貯蓄動機と貯蓄率を表した図表
(備考)内閣府「家計の消費・貯蓄行動に関する調査」により作成。 「予備的貯蓄動機あり」は貯蓄の目的として「不慮の事態に備える」と回答した世帯。上下5%の刈り込み平均。 出所 内閣府「令和7年度年次経済財政報告」
 

特に20代と60代で予備的貯蓄をしている人とそうでない人の差が顕著となっている。なお40代は同じくらい、30代では若干そうでない人の方が貯蓄率が高いという逆転現象が生じている。

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