リスクを避けたい気持ちと貯蓄の関係
人によって不安の感じ方は異なる。たとえば、同じ収入でも「何が起こるか分からないからしっかり備えておきたい」と考える人もいれば、「まあ何とかなるだろう」と楽観的な人もいる。
調査では、「仮想のくじ(当たるかどうか分からないもの)にいくらまで払うか」という質問を通じて、どのくらいリスクを避けたいかを測っている。具体的には、「50%の確率で10 万円を得られるが、50%の確率で何も得られない状況」というくじに払う金額を聞いている。結果、若い人ほどリスクを取る傾向があり、年代が上がるにつれて慎重になる傾向があることが分かった。
また、リスクを避けたいと考える人ほど、「今の貯蓄では足りない」と感じる傾向があることも判明している。同様に、先述のくじにいくら支払うか金額を聞いたときに金融資産が「全く足らない」と答えた人の8割以上が「1万円」以下と答えている。つまり、より悪い状態を想定してリスク回避度が高い状態であるのに対し、「十分にある」と答えた人では7割程度となっている。加えて、そのくじに「5万円」以上払うという割合も相対的に高い。
リスク回避度と貯蓄額に対する認識
調査ではこのほか多様な質問を行っているが、全体を通した結果として、収入が上がってもそれがずっと続くかは分からないと感じる人が多く、物価上昇や老後不安から、消費より貯蓄を優先する傾向が強まっていることが浮かび上がっている。人々が不安なくお金を使えると思える社会を迎えるには、将来への安心感を培う施策が必要とされているのかもしれない。
調査概要 白書名:「令和7年度年次経済財政報告」 調査主体:内閣府 公表日:2025年7月29日