株価急上昇 起爆剤は鉱山停止とノーベル賞
三井金属の株式が急激に買われています。株価は2025年8月ごろからほぼ垂直に上昇し、年初来で2.9倍に値上がりしました。時価総額は2670億円から、7780億円まで増加します(25年10月23日終値)。大型株が対象の「JPXプライム150指数」にも、資本収益性の高さから25年8月に新採用されました。
【三井金属の株価チャート(過去5年間)】
・株価:1万3605円(25年10月23日終値)
株価急騰の背景には銅の供給懸念があります。25年の8月にチリのエル・テニエンテ鉱山が、9月にはインドネシアのグラスベルグ鉱山が事故から操業を停止しました。23年には世界最大級の産出量だったパナマのコブレ鉱山が閉山を決定しており、供給の縮小が危惧されています。
AI需要などから銅のニーズが高まるなか、世界有数の鉱山が相次いで停止したことから、銅市況は大幅に上昇しました。三井金属はペルーの自社鉱山から銅鉱石も産出(※)するほか、銅製品も生産しており、利益拡大の思惑から投資家の資金が向かっていると思われます。さらに、25年10月には金属有機構造体(MOF)の開発がノーベル化学賞を受賞し、同事業を展開する三井金属にも「ご祝儀買い」が入った模様です。
※三井金属のペルーのワンサラ鉱山およびパルカ鉱山の主な産出は亜鉛・鉛
このように、足元の株価上昇は外部要因が大きく影響しています。外部要因は予見が難しく、今後も高値が続く保証はありません。
株式の価値の源泉は、その企業が稼ぎ出す利益です。三井金属の今後を占うなら、同社の事業内容に目を向けるほうが望ましいでしょう。三井金属が展開する素材ビジネスを解説します。
