最高業績も今期は大幅減益を予想 30年度に経常益1000億円を計画

最後に全体の業績も押さえましょう。コロナ禍は比較的堅調でしたが、23年3月期に大幅な減益となりました。全体の売り上げは堅調だった一方、主力の機能材料で販売が減少したほか、エネルギーコストの上昇が利益を圧迫した格好です。

以降はV字回復となっており、機能材料が持ち直したほか、金属の利益拡大が貢献しています。25年3月期は売上高および各段階利益は過去最高を更新しました。

三井金属の業績(2016年3月期~2025年3月期)
 
出所:三井金属 決算短信および決算説明会資料より著者作成
 

ただし、今期(26年3月期)は一転して大幅な減益の計画です。機能材料は増益を見込みますが、金属の減益や金属を中心とした市況変動に伴う在庫要因の悪化を見込んでおり、経常利益は大きく減少する予想となっています。

また、純利益はさらに落ち込む想定です。前期に特別利益として計上した投資有価証券の売却益がはく落すること、第1四半期に三井金属アクトの売却に伴う特別損失を計上したことが影響します。もっとも、冒頭のとおり金属市況は足元で上昇しており、利益は想定より上振れる可能性があります。

【三井金属の業績予想(26年3月期)】

・売上高:6650億円(-6.6%)
・実力ベース経常利益:464億円(-20.5%)
・経常利益:440億円(-42.4%)
・純利益:170億円(-73.7%)
※()は前期比
※同第1四半期時点における同社の予想
※実力ベース経常利益は、経常利益から在庫要因と触媒貴金属価格影響を除いたもの

出所:三井金属 決算短信および決算説明会資料

また、今期は大幅な減益ですが、中長期では成長を見込みます。経常利益は28年3月期に700億円(26年3月期予想比:+59.1%)、31年3月期には1000億円(同+127.3%)まで引き上げる計画です。主力の銅箔で積極的な拡販に取り組むほか、全固体電池向け材料も育成し、目標の達成を目指します。