近年、日本株式は大きく値上がりしています。2024年の10月には高くても3万9000円台だった日経平均が、いまや5万円台へ到達しました。
このタイミングで個別株の購入を検討している方も多いのではないでしょうか?
安心して、長期的に個別株で成功するにはどうすればいいのか、投資顧問会社の代表で人気YouTuberの栫井駿介氏が解説します。(全3回の2回)
※本稿は、栫井駿介著『年率10%を達成する! プロの「株」勉強法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・再編集したものです。
投資の近道は有価証券報告書にあり
もっとも、単に好きだから買ったというだけでは再現性のある投資にはなりません。その企業の特徴をよく理解し、株価水準等とも絡めて考えることがうまくいく投資を繰り返す秘訣になります。
企業を理解するために、情報源としては四季報や決算短信などがよく挙げられますが、私はもっぱら「有価証券報告書」を読むようにしています。
有価証券報告書というと、何やら分厚くて文字ばかりが大量に書かれている書類と思われて、敬遠している人も少なくないかもしれません。実際に、私が証券会社にいた時も、プロですらなかなか有価証券報告書をつぶさに読んでいる人を見かけませんでした。
証券会社では様々な情報ツール(ブルームバーグやクイックなど)があるので、もっぱらそれらに頼ってしまいがちです。これらはデータをまとめるには優れているのですが、肝心のその会社の戦略やこれまでの沿革など、その会社の本質に迫る情報はなかなかとりづらいものでした。そのため、ここで調べた情報はなかなか頭に残らなかったのです。
足りない情報を探そうと思っていろいろな「ソース」すなわち情報源を当たると、いつも行き着くところは最終的には有価証券報告書でした。逆に言えば、企業のあらゆる情報は有価証券報告書に集約されているのです。
これは有価証券報告書の法的な位置付けを考えるとよく理解できます。有価証券報告書とは、金融商品取引法に定められたすべての上場企業に提出が義務付けられている書類です。株式を売買しようとする投資家のために、中立的な立場で必要な情報を開示すべきという理由からこのような書類がつくられています。
株式を上場しているなら、どんな企業でも無料で有価証券報告書を読むことができますし、またその中身もフォーマットにしたがっていて、よい情報ばかりではなく悪い情報も書かなければなりません。虚偽記載があれば刑事罰も定められている書類ですから、よい情報ばかりを盛り込むこともできないのです。
