設立以来で初の自社株買いを公表

JR東海(東海旅客鉄道)の株価が停滞しています。コロナショック後はおおむね3000円~3700円で横ばいの展開となり、23年3月ごろに緩やかな上昇トレンドを迎えました。24年3月には4027円の高値をつけます。しかし、以降は値下がりの傾向が強くなり、25年4月のトランプ関税ショックでは2716.5円まで売られました。

現在は3100円前後で取引されています。25年4月、設立以来で初めてとみられる自社株買い(自己株式除く発行済み株式数の最大4.57%)を発表し、サプライズから買いが集まりました。しかし、これまでの値下がりを取り戻すには至らず、株価は5年で15.8%のマイナスです。

【JR東海の株価チャート(過去5年間)】
・株価:3096円(2025年6月11日終値)

JR東海の株価チャートを表した図表(過去5年間)
 
出所:Tradingview
 

PBR(株価純資産倍率)も低水準です。PBRは0.66倍、つまり株価は純資産より37%安く取引されている状況にあります。

【JR東海のPBR(2025年6月10日終値)】
・1株あたり純資産(自己株式除く):4675.36円
・PBR:0.66倍
・(参考)東証プライムPBR:1.4倍(2025年5月)
※純資産は2025年3月末
※東証プライムPBRは加重平均

出所:JR東海 決算短信、日本取引所グループ その他統計資料

市場の価格発見機能が働くなら、株価は常に妥当であり、PBRの1倍割れも割安とはいえません。しかし、現実には市場が完全に機能することはなく、本当の価値を見落としている可能性もあります。JR東海も、25年5月の決算説明会で「業績が株価に反映されていないのではないか」との考えを示しました。

JR東海の株価は、なぜ安く推移しているのでしょうか。理由を探っていきましょう。