JRで最高の利益率 運賃規制も単価上昇とコスト削減で採算向上

まずは企業の概要を押さえましょう。

JR東海は旧・国鉄の解体に伴い、1987年に東海旅客鉄道株式会社として設立されました。東京~大阪間の東海道新幹線のほか、名古屋・静岡地区の在来線を運営しています。利益率が高く、営業利益はJR上場4社で最大です。また、子会社には鉄道車両メーカーの日本車輌製造を持ちます。

【JR上場4社の営業利益(2025年3月期)】

・JR東海:7028億円(営業利益率38.4%)
・JR東日本:3768億円(同13.0%)
・JR西日本:1802億円(同10.5%)
・JR九州:590億円(同13.0%)

出所:各社の決算短信

鉄道事業以外では、主に名古屋駅を中心に商業施設を運営します。高島屋と共同で設立したジェイアール東海高島屋が百貨店を運営するほか、駅ビルでオフィスの賃貸といった不動産業を展開します。なお、利益のほとんどは運輸業で構成されており、運輸収入の大部分は東海道新幹線が占めています。

【セグメント情報(2025年3月期)】 

JR東海のセグメント情報を表した図表(2025年3月期)
 
出所:JR東海 決算短信
 

鉄道株への投資で知っておきたいことは、値上げの制限です。運賃の改定は国土交通省の認可が必要で、値上げには高いハードルがあります。JR東海は消費税の引き上げ以外で、運賃を値上げしたことがありません。

一方、割引額の変更やグリーン料金など、一部の料金は国への届け出のみで改定できます。JR東海はこれらを活用し、単価の上昇に取り組んでいます。またワンマン運転の拡大といった業務改革にも取り組んでおり、コストを減少させることでも利益の拡大を目指します。

なお、JR東海は新幹線自由席特急料金の届け出化や、インフレを料金に反映できる制度の導入などを国に要望しています。実現すれば収益の改善に期待できるでしょう。