財布は100均で平気? 若者を中心に流行する興味深い現象

最近ちょっとおもしろいニュースをみかけました。最近の若者は財布は100均で済ませてしまう、というものです。ネットでは「#100均財布界隈」というキーワードがありますが、100均の小さなポーチを財布代わりに使う人たちがそれぞれの「100均財布」をSNSにアップしているのです。

学生に限った流行かというとそうでもなく、20歳代の若い社会人はもちろん、中高年の女性も100均財布を使っていたりします。

100均財布を話題にすると、個人の価値観の違いが見えてきます。特に高年齢の人を中心に「財布はいいものを買わなくちゃ」という考えがあります。100均財布はこれと真逆の考え方です。

さらに興味深いのは、100均財布を使っている人たちは皆楽しそうに自分の財布をSNSに投稿していることです。安い財布は、貧乏であったり肩身の狭いものではないのです。

ウェルビーイング視点で考えてみると、「安い財布を買っている人が幸せそうにアピールしている」わけです。これ、興味深い現象だと思いませんか?

かつて財布は「高品質なモノ」がステイタスだったが…

高年齢の方の多くが「財布は値が張るものを」と考える理由のひとつは、かつて高額の財布を持つことはステイタスを示していたからです。

親が新社会人になった子どもに財布をプレゼントする、というような風習があったりしました。「ちゃんとした財布がないとお金は貯まらないよ」という考えを持つ人もいました。

高額の財布を持つ人は年収も高い、という仮説を立てた本がベストセラーになったこともあります。使う財布の値段が高い人ほど意識が高く、年収も高い関係があるそうです(その説では財布の価格と年収には200倍の関係があるのだとか)。この理論だと年収1000万円の人は5万円の財布を持つことになり、確かにブランド財布ということになります。

若い世代でも、高額財布に一定のニーズがありました。昔のニュースではしばしば、女子高生がブランドの財布を背伸びして買い、自慢しているような紹介がされていたものです。

逆に安い財布はバカにされていて、10年くらい前のネットのネタで、ビニールの安い財布(開け閉めがベリベリ音を立てるような)は、カッコ悪さの象徴みたいな取り上げられ方もされていました。

かつて根強い価値観であった「財布の値段がステイタス」が、若い人を中心になくなってしまったのはなぜでしょうか。