物価の上昇と貯蓄の関係

予備的貯蓄をする人は経済面で将来に不安を感じている傾向があると考えられる。つまり、物価の動向や将来の収入についての考え方と関係があるかもしれないということだ。

食品や日用品の価格が少しずつ高くなってくると、「このまま物の値段が上がり続けたら将来の生活費も増えるかもしれない」と不安になり、その結果「今のうちに少しでも多く貯蓄しておこう」と考える傾向にあるのではないか。調査では物価上昇率との関係を調べている。結果、予備的貯蓄動機を持つ人は物価上昇率を高めに考える傾向にあることが分かった。具体的に見てみよう。

予備的貯蓄動機と経済認識

予備的貯蓄動機と経済認識を表した図表
 
出所 内閣府「令和7年度年次経済財政報告」
 

上のグラフで物価上昇率が「変わらない・低下」と答えた割合に注目すると、全体では実感、予想物価上昇率とも2割近くがあてはまる。対して、予備的貯蓄動機がある人の回答はその半分以下にとどまっているのだ。

一方で予想賃金上昇率、つまり「給料が上がるかどうか」という見通しについても調べているが、それほど強い相関は見られなかった。つまり人々は収入の増加よりも支出の増加に対して敏感に反応しているといえそうだ。