高い水準で続く「老後不安」、貯蓄に不満な人が増加

2000年代後半以降、老後生活について「非常に心配」「多少心配」と答える人の割合は常に80〜90%程度で推移していることが内閣府の最新調査※により分かった。

特に「非常に心配」と答える人が40〜50%と高い水準で推移しており、多くの人が長期的に老後への不安を抱えていることが分かる。こうした不安は、消費を控えて貯蓄を優先する行動につながりやすいと考えられる。

※内閣府「令和7年度年次経済財政報告」(2025年7月29日公表)

老後の生活が心配であると答えた世帯

老後の生活が心配であると答えた世帯を表した図表
 
出所 内閣府「令和7年度年次経済財政報告」
 

19年と25年の調査を比較すると、「現在の貯蓄がまったく足りない」と感じている人は30.1%から35.8%へと上昇している。つまり、6年前よりも多くの人が「貯蓄が不十分」と感じているということだ。

金融資産額についての認識

金融資産額についての認識を表した図表
 

備考:内閣府「家計の消費・貯蓄行動に関する調査」、「消費者の行動変化に関する意識調査」により作成

出所 内閣府「令和7年度年次経済財政報告」
 

一方で、貯蓄が「十分にある」「一定程度ある」「やや足らない」との回答は減少傾向にあり、「わからない」と答える人が増えている点も注目される。これは、将来の見通しが立てづらくなっている中で、「どれくらい貯蓄すれば安心なのか」という基準が分からないと感じる人が増えていることを示している。