各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、三菱UFJ銀行のデータをもとに解説。

三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキング2025年10月のトップは前月第3位だった「eMAXIS 日経225インデックス」になった。前月は限定追加型の「ニッセイ/シュローダー好利回りCBファンド2025-09(為替ヘッジなし・限定追加型)」がトップを占めていたが、このファンドが募集期間の終了によってランキングから外れ、主要ファンドは前月のランクを1つずつ繰り上げている。その中で、ランクアップが目立ったのは、トップに立った「eMAXIS 日経225インデックス」とトップ10圏外から第6位にランクインした「三菱UFJインデックス225オープン」の国内株インデックスファンドと、第9位から第5位に上がった「三菱UFJ純金ファンド」だ。一方、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は順位を下げている。米国株をはじめとした外国株インデックスファンドには割高感が懸念されている。

「国内」優位の株式インデックスと高値波乱の「純金」

三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングで「eMAXIS 日経225インデックス」がトップになったが、これは2025年4月以降、国内株式市場の上昇率の大きさが背景になっている。2023年12月末を起点として、国内株インデックスファンドの「eMAXIS 日経225インデックス」、米国株「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、そして、全世界株式「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の3ファンドを比較すると、2024年末時点では、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がプラス40.78%でトップ。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がプラス32.48%で続いて、「eMAXIS 日経225インデックス」はプラス20.72%と米国株の半分程度の値上がり率でしかなかった。ところが、2025年11月7日時点で比較すると3ファンドともにプラス50%台前半となり、3ファンドの差がなくなった。それだけ、「eMAXIS 日経225インデックス」が上昇したということだ。

グローバル事業を展開する企業は、もはや自国の経済成長のみに依存した成長戦略を考えてはいない。世界各国の状況を調べ、自社で最適な商品・サービスを提供することによって景気変動に左右されにくい経営成績をめざしている。その実態を考えれば、各国の大型企業で構成された株式インデックスがほぼ同じような値動きになることは、当然のことなのかもしれない。また、昨年までの米国株インデックス(為替ヘッジなし)、国内株を除く先進国株インデックス(MSCIコクサイ)(為替ヘッジなし)などの値動きは、為替の円安による影響があった。過去5年間のドル円は、1ドル=103円台から160円台に進む円安・ドル高相場だった。その一本調子の円安・ドル高の動きが2024年をピークにやや落ち着いた値動きになっている。2025年になっての米国株インデックスファンドの鈍化は、円安効果に期待していた部分がはげ落ちた結果といえる部分もあるだろう。

一方、世界の株価の動きとは別格な値動きを続けているのが「三菱UFJ純金ファンド」に象徴される「純金(ゴールド)」の動きだ。特に、2025年に入って株価が調整安に転じた動きを横目にして「我関せず」とばかりに一本調子の上昇相場になっている。さすがに9月以降の急速な上昇率の高まりには大きな調整安の圧力が働いた。「三菱UFJ純金ファンド」の基準価額は8月末から10月17日の高値まで約1カ月半で約53%上昇し、10月28日まで7営業日で21%下落するという波乱があった。その後は持ち直す動きになっている。この持ち直しの動きは、純金(ゴールド)の上昇はまだ終わっていないと感じさせる。