各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、マネックス証券のデータをもとに解説。

マネックス証券の2025年9月の投信売れ筋ランキングのトップに立ったのは前月第3位の「楽天日本株4.3倍ブル」だった。前月トップの「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第2位に後退し、第3位には前月第4位だった「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が浮上した。前月第2位だった「楽天・日本株3.8倍ベアIII」は第4位に後退した。また、前月第7位だった「WCM世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第5位に、前月は第10位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」が第8位にランクアップした。トップ10圏外から「三菱UFJ純金ファンド」が第9位にランクインした。

 

日本株の上昇が本格化? 「ブル型」がトップに

マネックス証券の売れ筋ランキングで2025年9月、「楽天日本株4.3倍ブル」がついにトップに立った。「レバレッジ型」といわれるファンドで、「株価指数先物取引を活用し、日々の基準価額の値動きが、わが国の株式市場全体の日々の値動き(日々の騰落率)のおおむね4.3倍程度となることを目指して運用する」としている。「4.3倍ブル」の場合、国内株式市場が1日で1%値上がりした場合、4.3%値上がりするイメージだ。「ブル型」は対象資産が上昇している場合は非常に効率的に資産を増やすことができるアイテムになる。反対に1%値下がりした場合には4.3%値下がりすることになり、大きな損失につながる。

マネックス証券の売れ筋ランキングでは2025年5月以降において、「ブル型」と「ベア型」が交互に人気化している。5月は両ファンドともに順位を落として「ブル型」第3位で、「ベア型」第10位。5月の「日経225ノーロードオープン」は5.23%高だった。6月は「ブル型」が第2位に上がり、「ベア型」は第3位にランクアップした。株価が5月と6月に大幅に値上がりしたために高値警戒感があったのだろう。6月の日経225は6.71%高だった。そして、7月は「ブル型」が第3位、「ベア型」は第4位とそれぞれに後退。日経225は1.41%高と上昇率が鈍化した。このため、8月は日経225が下落に転じるかもしれないという見方が高まったのだろう、「ブル型」が第3位にとどまったのを超えて「ベア型」は第2位に上昇した。ところが、日経225は8月に4.02%高と続伸。8月に「ベア型」に投資した投資家は損失をかぶることになった。そして、9月も日経225は5.83%高と一段と上昇した。いよいよ国内株の上昇に確信が持てたと見えて「ブル型」がランキングのトップになり、「ベア型」は第4位に落ちた。

5月以降は「日経225ノーロードオープン」は5カ月連続で上昇した。このため、ブル・ベア型のファンドに投資する場合は、「ブル型」一択でよかったことになる。基準価額の動きだけでは4月7日に付けた安値から10月3日までに「ブル型」は約4.7倍も上昇している。この間に「日経225ノーロードオープン」は約48%高、「ベア型」は83%安だ。ブル・ベア型は、その値動きの大きさから短期の見通しで「上がる」「下がる」の二者択一で投資されるケースが多いと考えられる。実際に年初から4月7日までの「ベア型」の上昇率、そして、4月7日を起点とした10月3日までの「ブル型」の上昇率の大きさはブル・ベア型に投資するだいご味だったろう。そして、日経225の史上最高値更新へ進んだ10月3日から後の動きは、「日経225ノーロードオープン」の動きを見る限りにおいては、日経平均株価の動きは上方向に強いように見えるが、どうなのだろうか。