三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年9月の公募ファンドの純資産残高は約125兆8876億円で前月比約4兆6317億円増加した。純資産残高は5カ月連続で増加し、前月に続いて史上最大を更新した。前月は純資産残高の増加額が約8753億円に減少していた「外国株式型」は約3兆2515億円の増加に復調した。また、「国内株式型」が約3981億円(前月:約4138億円)、「複合資産型」も約4101億円(同2086億円)、「その他」は約4570億円(同944億円)の増加だった。「その他」はブル型ファンドや純金(ゴールド)ファンドのパフォーマンスが好調で残高も増大した。「国内債券型」が約100億円の減額と前月(約81億円減)に続いて残高が減少した。
資金流入額は約1兆410億円と前月の約6710億円から大幅に増加した。流入超過額は5カ月ぶりに1兆円の大台を超え、22カ月連続の資金流入超になった。資産別には「外国株式型」が約8930億円の資金流入額と引き続き資金を集めている。一方、「国内株式型」は約250億円の資金流出超となっており流出超過が続いている。
9月の資金流入額のトップは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が約2050億円の流入超過額となり、前月(約1680億円)を約370億円上回るなど、大きな資金流入が続いている。これに対し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の資金流入超過額は1150億円と前月の流入額からの増加額は約20億円にとどまったため、拮抗(きっこう)する人気だった両ファンドの資金流入額に大きな差ができている。この差ができた要因は、過去1年間は「S&P500」の流出額(解約額)が「オルカン」を上回る傾向が続いていることだ。三菱アセット・ブレインズは、「『S&P500』の方が短期的な取引を嗜好(しこう)する投資家層が多く、上昇相場局面での利益確定の傾向が『S&P500』により強く表れていることが想定される」と分析している。
流入額トップ6に変化はないものの傾向は分かれる
流入額上位20ファンドでは、トップ6は前月同様だった。トップの「eMAXIS Slim 全世界株式(オールカントリー)」(流入額2051億円、前月1685億円)以下、「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし、毎月決算型)」(同1651億円、1595億円)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」(同1148億円、1134億円)、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド D」(同738億円、576億円)、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(同535億円、304億円)、「iFreeNEXT FANG+インデックス」(同458億円、299億円)だった。流入額順位は変わらなかったが、「オルカン」、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド D」、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」、「iFreeNEXT FANG+インデックス」への資金流入額は勢いよく増額したが、「インベスコ 世界厳選株式オープン(ヘッジなし、毎月決算型)」と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」への流入増は小幅など、傾向が分かれた。
前月第16位だった「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(ヘッジなし)」が第7位に上がった。同ファンドは、電力需要の拡大によって恩恵を受ける世界の株式に投資するファンドだ。AI需要の拡大に伴ってデータセンターの新・増設が拡大しているが、データセンターは莫大(ばくだい)な電力を消費するため、電力需要が増大するという動きになっている。2024年10月28日に新設されたファンドだが、2024年8月末時点で設定来の騰落率が34.0%と好調だ。
また、9月11日に新規設定されたばかりの「ドナルド・スミス グローバル・ディープバリュー戦略株式ファンド」が366億円の資金流入額で第8位にランクインした。同ファンドは企業の本源的価値に比べて極めて割安で投資魅力度が高いと判断される企業の株式に投資するファンドだ。同ファンドを実質的に運用するドナルド・スミス・アンド・カンパニーは、1980年に創業された運用会社でバリュー戦略に特化した運用会社として機関投資家を中心とした顧客を持ち、約6400億円の資産を運用している。