各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、浜銀TT証券のデータをもとに解説。

浜銀TT証券の投信売れ筋ランキングの2025年10月のトップは6月以来5カ月連続で「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(設定はピクテ・ジャパン)だった。トップ3は前月と変わらず第2位に「イノベーション・インサイト 世界株式戦略ファンド(予想分配金提示型)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、第3位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(アライアンス・バーンスタイン)だった。第5位にトップ10圏外から「J-REIT・リサーチ・オープン(毎月決算型)」(三井住友トラスト・アセットマネジメント)、第9位に「お金のデザイン・グローバル・リアルアセット・ファンド(世界の実物資産中心)」(お金のデザイン)がランクインするなど、不動産に着目したファンドが注目を集めている。

 

米国テクノロジー株式の成長期待に投資する

浜銀TT証券の売れ筋ランキングのトップに「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」がきているように、同社の売れ筋はパフォーマンスの優れたファンドにフォーカスしている。トップ10で「予想分配金提示型」が第2位をキープし、10月に「資産成長型」が第4位にまで上がってきた「イノベーション・インサイト 世界株式戦略ファンド」はグローバル成長株ファンドだ。実質的な運用は米国カリフォルニア州サンマテオに本部を置く独立系の資産運用会社グループであるフランクリン・テンプルトン・グループが行う。当ファンドでは、「人々の生活を変革する製品、アイデア、サービス、技術、ビジネスモデル等を有すると考えられる『イノベーション企業』」に厳選投資する。

2025年10月末時点での組み入れ上位銘柄は、米エヌビディアを筆頭に、マイクロソフト、アマゾン、ブロードコム、アルファベットなどに加え、台湾半導体(TSMC)、カナダのショッピファイなど。国・地域別では米国が85.46%と大半を占めるが、カナダ5.32%、台湾3.08%、ブラジル1.53%など、投資地域はやや分散している。

浜銀TT証券の売れ筋では第6位にランクインしたゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが設定・運用する「netWIN GSテクノロジー株式ファンド Bコース(為替ヘッジなし)」とファンドのコンセプトは似ている。「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」は主に米国企業を対象とし、10月末時点の組み入れ上位はエヌビディア、アルファベット、アマゾン、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどとなっており、NY証取に上場している台湾半導体(TSMC)も組み入れている。投資銘柄の顔ぶれに似通ったところはあるが、投資のウエイト等は異なり、そこには運用会社の見方や分析力が働いているのだろう。ただ、ファンドのパフォーマンスはよく似ている。2023年12月末を起点として両ファンドの基準価額の推移を追ってみると、ほぼ重なるように動いている。

大きな違いは「イノベーション・インサイト 世界株式戦略ファンド」は「毎月決算型・予想分配金提示型」と、分配金を払い出さない「資産成長型」の2つのコースがあること。「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」は「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」の2コースがあるが、決算は両コースとも年2回のみになっている。米国を中心にしたテクノロジー株式に投資して、毎月決算型でその都度収益分配金を得たいという考えの投資家は「イノベーション・インサイト 世界株式戦略ファンド」の「予想分配金提示型」を選ぶことができる。