各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、足利銀行のデータをもとに解説。

足利銀行の投信売れ筋ランキング(販売件数)の2025年10月のトップは前月第2位だった「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」が上がった。前月トップだった「のむラップ・ファンド(積極型)」は第2位に後退した。前月第3位から第5位は変わらず、「のむラップ・ファンド(普通型)」、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)」が続いた。そして、第6位には前月第9位だった「キャピタル世界株式ファンド」がジャンプアップし、第7位にはトップ10圏外から「フィデリティ・アクティブ・ラップファンド(アグレッシブ)」がランクインした。

上昇率で「ゴールド」がトップに

足利銀行の売れ筋はグローバル・バランスファンドの「のむラップ・ファンド(積極型)」を基準として、外国株に投資する代表的なファンドが並んでいる。2023年12月末を起点として2025年11月19日までの基準価額(分配金込み)は、おおむね「のむラップ・ファンド(積極型)」よりも基準価額の水準が高い位置にあるファンドがトップ10に残っている(「グローバルAIファンド」のみは2024年8月、2025年4月のような市場の急落時に「のむラップ・ファンド(積極型)」の水準を下回る脆(もろ)さがある)。足利銀行のファンドの中では、「のむラップ・ファンド」がコア資産として長期資産形成の中核にあり、そこにサテライトとしてより積極的なリターンを追求するファンド群があるという構図がうかがえる。

パフォーマンスの点で際立って高い成績を残しているのが「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」だ。トップ10の中では、2023年12月末基準で唯一基準価額が2倍以上に上昇している。2年足らずの間に2倍増というのは、すさまじい上昇率だ。同ファンドは金の現物価格に連動するファンドを主要な投資対象としているため、この間の金価格の上昇をストレートに反映したパフォーマンスになっている。それに続く成績は「フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)」の68.71%増だった。2倍増と比較すると見劣りするが、その他の株式ファンドと比較すると頭抜けた成績になっている。

そして、10月に売れ筋ランキングで順位を上げた「キャピタル世界株式ファンド」の46.21%増が「フィデリティ・米国株式ファンド Bコース(資産成長型・為替ヘッジなし)」に次ぐ成績だ。「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」、「グローバルAIファンド」も同じような水準になっている。11月19日時点で「のむラップ・ファンド(積極型)」が33.43%増であり、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信 Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の37.39%増は大きな違いがなくなってきている。毎月決算型で分配金を払い出す魅力が評価に上乗せされていると考えられるが、トータルリターンで「のむラップ・ファンド(積極型)」をより大きく上回る成績が期待されている。