三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年10月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は13本と前月(22本)から減少したものの、設定総額は約1410億円と前月(約950億円)から拡大し、2カ月連続で大幅に拡大した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、野村アセットマネジメントの「野村日本バリュー厳選投資」の約990億円だった。第2位は「あおぞら・新グローバル分散ファンド(限定追加型)2025-10」の約290億円、第3位は「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(ヘッジあり)」の約75億円、「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(ヘッジなし)」の約23億円となった。限定追加型が比較的まとまった資金を集めている。

 

純資産残高が約1300億円に達した「野村日本バリュー厳選投資」

新規設定額でトップの「野村日本バリュー厳選投資」は、国内上場株式の中で資産・利益水準等と比較して株価が割安と判断され、かつ株価上昇が期待できる銘柄の中から、さらに個別銘柄の魅力度(カタリスト等)を考慮して厳選投資を行うファンドだ。資金流入が停滞する国内株式ファンドの中で突出した資金を集めた。三菱アセット・ブレインズは、この資金流入の要因の1つとして2025年6月に設定された「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の役割に注目している。同ファンドは、基準価額が一定水準(1万2500円)に到達した場合、短期金融商品に切り替えて早期償還することをめざすファンドだった。それが2025年10月9日に目標水準に到達して安定運用に移行した。

この安定運用に移行した時点で「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の純資産残高は約1874億円だった。安定運用に切り替わって以降、徐々に解約が出て10月31日時点の純資産残高は約1394億円、10月末までに500億円程度の解約があったようだ。この早期償還条項付ファンドで短期間に投資元本の25%の収益を獲得できた投資家がその資金を使って、「より継続的な日本株投資による追加リターンの獲得を狙って『野村日本バリュー厳選投資』に資金を振り向けたことが、資金流入拡大の一因と考えられる」(三菱アセット・ブレインズ)と推察している。

「野村日本バリュー厳選投資」は10月22日の設定後もジワジワと資金流入が続き、11月17日時点で約1296億円の純資産総額になった。この時点で「(早期償還条項付)野村ハイベータ日本株2506」の純資産残高は約1242億円あり、12月5日に信託を終了して投資家に資金が戻るため、それを機に、一段と資金流入が拡大することも期待できる。