各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、八十二銀行のデータをもとに解説。

八十二銀行の投信売れ筋ランキング(店頭販売件数)の2025年10月は5月から9月まで5カ月連続でトップだった「セゾン・グローバルバランスファンド」を第2位に引き下げて前月は第2位だった「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」がトップに立った。第3位から第6位までは前月と同じで、「次世代米国代表株ファンド<愛称:メジャー・リーダー>」、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(年2回決算型)」、「セゾン資産形成の達人ファンド」、「グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)」が続いた。第7位には前月第10位から「三菱UFJ インデックス225オープン」が上がり、トップ10圏外から「ひふみプラス」が第10位にランクインするなど、国内株ファンドが順位を上げた。

 

売れ筋トップに「ゴールド・ファンド」

八十二銀行の売れ筋トップだった「セゾン・グローバルバランスファンド」は、基本的な配分比率を株式50・債券50とするバランスファンドで、2007年3月の設定から2025年10月末までの年換算収益率は6.06%、年換算標準偏差は11.12%だ。投資の経験が少なく、着実に資産成長をめざしたいというニーズに応える効果が期待されるファンドといえ、八十二銀行で初めて投資信託を購入するという投資家に勧められているファンドの1つと考えられる。「セゾン・グローバルバランスファンド」のパフォーマンスは、優れた運用成績を残している株式ファンドと比較すると高いものではない。ただ、10年国債利回りが年1%台という金利水準が低い日本において、コンスタントに年6%台の収益率を残してきた実績が評価されてきたのだろう。

これに対し、10月にトップに立った「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」は、価格変動だけが収益チャンスになるという性格を持つ、非常にリスクの高いファンドだ。高いリスクのファンドの人気が高まるほど、10月の市場は「リスクオン」を感じさせる投資環境だったということになる。

10月の「リスクオン」を促した要因で大きかったのは国内株の上昇だ。10月21日に発足した高市早苗政権への期待を表した『高市ラリー』などの影響もあって、10月1カ月間で国内株を代表する株価指数である「日経平均株価」は16.64%上昇した。この上昇率は過去最高の上昇率になっている。日本株以外でも米「S&P500」は2.27%高、英「FTSE100」は3.92%高など先進国株価の多くが上昇し、新興国市場でも中国「上海総合」は1.85%高、インド「SENSEX30」も4.57%高とおおむねしっかりした展開となっており、株式市場の先行きに楽観的な見方が広がった。

突出して大きく上昇した国内株では、インデックスファンドの「三菱UFJ インデックス225オープン」、アクティブファンドの「ひふみプラス」がランクを大きく上げる動きになっている。「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」と同じように10月の値動きの良さをストレートに評価した動きといえる。