資産運用会社が顧客に対して負うべき責務

最近、世界的な資産運用会社や金融機関が、ESGや温室効果ガスの排出量をネットゼロにすることを目指したアライアンスからの撤退や距離を取る動きを見せている。日本の一部の金融機関にもこれに追随する動きがある。これは、第二次トランプ政権の発足後、米国においてESG投資を推進する政策から、経済的利益の追求を最優先とする方針へと規制や政治環境が大きく変化したことに関連すると考えられる。

そもそも資産運用会社が負うべき責務とは一体何であろうか。それは「フィデューシャリー・デューティー(受託者責任)」という考え方に端的に示されている。これは、顧客から預かった資金を運用する立場として、長期的かつ持続可能な経済的リターンを最大限追求することが最優先であるという原則である。そうでない場合として、例えば運用会社自身の利益を優先するといったことも考えられる。他人の資産を管理する以上、その資金の安全性や収益性を重視するのは当然のことである。

資産運用には当然リスクがあり、顧客資産の保全と増加に対する責任は極めて重大である。顧客の資金を運用する際には、たとえそれが高尚な理由であれ、リターン以外の目的を優先することには慎重であるべきだ。