顧客の利益を長期的に守るために必要なこと

ESGという考え方自体も非常に重要である。筆者自身も、環境・社会・ガバナンスの観点は極めて重要だと強く思う。しかし社会がESGを推進する手段は、各企業の自発的な社会貢献活動や、ガバナンス改善を通じた価値向上、あるいは公的機関との連携など数多く存在する。例えば、企業が自発的に環境負荷の少ない製品を開発したり、地域社会への支援活動を行ったりすることもその一例である。

他人資産の運用においては、基本的にESGは、長期的な収益やリスク管理という観点で役立つ場合に投資判断に取り入れることが望ましい。もちろん顧客との契約や運用ガイドラインによってESGが重視される場合も多く、顧客自身がネットゼロやESGの方針に沿った投資を希望するのであれば、それは当然守られるべきである。

今回のESGやネットゼロ関連のアライアンス撤退の動きは、各機関が政治情勢や周囲の動きに影響を受けているように見える。ESGのような理念は、自らの明確な考え方に基づいて判断を下すことが求められよう。

ただ顧客資産の運用においては、長期的に顧客の利益を守るために、適切なリスク管理や透明性のある情報開示を徹底し、顧客との信頼関係を築くことこそが、運用会社としての第一の責務であることは間違いないだろう。