米トランプ大統領が「カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の追加関税を発動する」と発表したことにより、2月3日の日経平均株価は終値で1000円を超える急落となりました。
サプライズとなったこの発言の背景には、貿易赤字の拡大もさることながら、日本ではあまり実感しにくい、不法移民や合成麻薬「フェンタニル」といった課題があるといわれています。これら米国における社会的課題へのトランプ大統領の取り組みが強い支持を集めるからこそ、「本当にやるのか」と思われていた政策が実行に移される可能性が高まるのです。
米国内移民ワーカーの「不法移民」懸念
実際、筆者が最近話を聞いたある米国のサービス業経営者も、スタッフの多くが南米出身の移民で、「採用時にチェックする在留書類の多くは、おそらく偽造だと思う。トランプの移民政策の影響が心配だ」と打ち明けていました。日本にいるとにわかに信じがたい話ですが、不法移民対策の厳格化が米国でいかにリアルに影響を及ぼしうるか、その実情がにじみ出ています。
合成麻薬フェンタニル問題も、関税発動の引き金に
さらに近年、米国では合成麻薬フェンタニルの乱用が深刻化し、国境を接するメキシコやカナダがその流入経路になっていると疑われています。フェンタニルはモルヒネの数十倍~100倍もの強力な鎮痛薬で、過剰摂取により命を落とすケースが多発。こうした「オピオイド危機」への強い危機感も、トランプ政権が両国に経済的に高い圧力をかける要因の一つとされています。