友人とランチに行くにも夫の許可が必要だった

「はい、これ、今月分ね」

無事に1週間をやり過ごし、慧佑は生活費を仏頂面で渡してくる。枚数をあっさり確認し終えた真悠は生活費を財布に入れた。

「先月、ギリギリだっただろ。明らかに晩飯のおかずが減ってたからな。今月はちゃんと計画通りに使うように頼むよ」

慧佑から小言を言われても、今日の真悠はいら立ったりしない。いつもより気分が良かった。久しぶりに友人からランチのお誘いを受けたのだ。もちろんこの出費も渡された生活費の中から出さないといけないのだけど、1度のランチ費用くらいなら何とかなるだろう。3万円を手にした月末の真悠は、いつも有頂天だ。

「あさってさ、友達とランチに行くけど、いいよね?」

とはいえ、こうして毎回、慧佑に許可を取らないといけないのは悩みの種でもある。だって慧佑は、こういうとき決まって顔をしかめるのだ。

「……またか。そうやってぜいたくをしているから、月末に苦しくなるんだぞ」

「うん、分かってるよ。ちゃんと計画通りにするからさ」

真悠は不満を押さえつけながら、笑顔を作っておく。