時給アップで生じた人件費増加と人手不足の問題
しかし、ここに来て難題が浮上してきました。人件費と人材確保の問題です。
2024年度は、最低賃金が過去最大規模となる50円も引き上げられました。物価の上昇が続く中、賃金もそれを上回るペースで上がってくれないと困りますが、私のような零細企業の経営者の立場だと見方が異なります。
東京都では現行の最低賃金1113円が、10月支給分から1163円にアップします。私の店は雰囲気や接客も重視しているので、アルバイトの時給は最低賃金より1割ほど高く設定しています。仮に10月からアルバイトの時給を1280円まで引き上げると、年間60万~70万円もの人件費の増加となってしまいます。
経費に限らず、人件費の上昇によって別の問題も生じています。
店のアルバイトは、ランチタイムは近所の主婦、夜の営業時間帯は近くの大学や専門学校に通う学生が中心です。どちらも旦那さんや親御さんの扶養家族になっていて、扶養から外れることのないよう1年間の収入をコントロールしています。
主婦の方を例にとると、年収が基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計103万円以下なら、本人には所得税がかからず、旦那さんは収入から配偶者控除を満額受けることができます。
年間103万円を月額に換算すると8万5833円です。10月からの時給で割ると、月の労働時間は67時間までに抑える必要があります。
これでは週4日4時間働いてもらうのがやっとです。頭数が足りない分は追加でアルバイトを雇うしかありません。人手不足の今、私が求める人材を確保するのはなかなか大変です。