年金の未納期間、どう取り戻す?

年金に関する不安や疑問があるとき、最初に考えたいのが年金事務所に相談に行くことです。年金事務所では、これまでの年金加入履歴や現状を確認しながら、専門の職員が丁寧に説明してくれます。

どんな対処法があるのかを具体的に教えてもらえるところも魅力の1つ。例えば、国民年金保険料の未納期間分は、納付期限から2年以内であれば納めることができ、国民年金の任意加入制度を利用して60歳以降も国民年金保険料を支払うことで年金受給額を増やす効果も期待できます。

「孝太郎さんの年金収入で、私の年金保険料を払うって不思議な感覚」。それでも、「未納になっている分は急いで払わないと……」とつぶやきながら、早速年金事務所に行く日取りを考え始めました。

また、国民年金保険料は、一定期間分をまとめて前払い(前納)すると、割引が適用されてお得です。前納する期間や支払方法によって割引額が変わるので、ぜひチェックしてみてください。年の差のある夫婦としては、万が一のときに備えて、遺族年金についても確認しておくと安心でしょう。

もう1つ大切なことは、家計の見直しです。孝太郎さんの退職により、収入が大きく減ることは避けられません。だからこそ、これからの生活費や支出をどのように抑えていくかを慎重に考える必要があります。さらに、孝太郎さんの体調を考えると、介護や医療費など急な支出に備えて、必要な資金を確保しておくことも大切です。

そこでまず、収入と支出のバランスを確認し、無駄な支出や見直せる固定費がないか検討することを提案しました。ポイントは、家計の状況を「見える化」すること。100歳までのライフプランシミュレーションを行うと、これまで一切家計に口出ししてこなかった孝太郎さんも「年金収入が増えたり支出を減らしたりすると、どう変わるんだろう?」と興味津々。夫婦で協力しながら老後の家計を考える、良いきっかけになったようです。

しばらくしてまち子さんから、「パートで働き始めました」と連絡がありました。3つめの提案として、「厚生年金に加入できそうなパートを探してみては?」と促したことで、考え方に変化があったそうです。未納分の年金はしっかりと支払い、これからは厚生年金に加入して少しでも年金を増やしたいという思いでの決断でした。

さらに予想外の出来事として、孝太郎さんが家事を手伝うようになったとのこと。「不安って、努力次第で変えられるんですね!」というまち子さんの言葉には、明るい未来への期待と力強い決意が込められていました。

定年後は人生の第二章。これからの2人の生活が、さらに穏やかで充実したものになることを願っています。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。