もやもやした気持ちを抱え市民講座に参加

「嫁の相続」と題した市民講座に興味を持ったのは、この出来事がきっかけでした。事情が事情ですから、かなりネガティブな感情を抱えて参加したのですが、講座自体はとても興味深いものでした。

主催したのは、税理士事務所で働きながら相続診断士の資格を取得した内海さんという50代の女性です。講座の前半はさながら、この内海さんの独演会でした。

義父の介護をほぼ1人で担った内海さんは、義父からの生前贈与や遺贈の提案を断り、特別寄与料制度(相続人でない親族が被相続人の財産の維持や増加に貢献したら、相続人に対してその貢献度に応じた寄与料を請求できる制度)を活用して夫のきょうだいに寄与料の支払いを認めさせたのだそうです。

「義父からの提案を受け入れる方が賢明だったかもしれないし、私の代わりに相続人である夫が多めに遺産を受け取った方が相続税の2割加算がない分お得だったかもしれない。でも、せっかく制度ができたのだから使ってみることに意義があったと思っています」

克明な介護日記をつけ、領収書も1枚残らず保存するなど、内海さんの徹底したやり方は痛快でもあり、参加者からも拍手喝采でした。講座の後半は参加者によるリアルな相続相談でこちらも大いに盛り上がりました。

講座を終え、今のもやもやした気持ちを内海さんに相談してみたいと考えるようになりました。そこで思い立ったら吉日とばかり、翌日には内海さんの事務所に連絡を入れ、面談を受けることにしたのです。

●聞き上手な内海さんに鬱屈(うっくつ)した思いを打ち明けた窪川さん。的確なアドバイスにより、もやもやした気持ちは一気に解決されていきます。後編【「救われたような気持ちになりました」40代女性が同居する義母への不満をスッキリ解消できたワケ】で詳説します。

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。