年金をもらえる友人をうらやましく感じるように……

さかのぼること4年前。丈也さんがちょうど60歳の誕生日を迎えた頃でした。

若い頃に会社を退職して以降の丈也さんは自営業になって、経済的にも時間的にも余裕のない日々を過ごしていました。そのため60歳の前月まで国民年金保険料の納付義務があるところ、ずっとこれを放置し、未納にしたままでした。

そのことを60歳になって改めて思い出し、「国民年金の加入義務は60歳までだけど、ちゃんと払ってこなかったな。ここ数年はずっと連続で国民年金保険料が未納。こんなに払っていないと年金は受け取れないだろうな……」と年金を諦めていました。

ある日、同級生数人で久しぶりに集まって話をしていた時のこと。「年金って何歳から受けられるようになるんだっけ?」という話題に対して、1人が「うちらは64歳から年金を受け取れるな。俺らもあと数年したら年金暮らしなんだよな」と答えました。

話を聞いた丈也さんは、「やはり年金があるってうらやましい。今さらだけど、自分も何とかならないだろうか」と思うようにもなりました。

年金事務所で「予想外の事実」が判明!

それ以来、年金のことをどうしても諦められなくなった丈也さんは、ダメ元で年金事務所へ足を運び、年金を受け取れないかどうかを聞くことにしました。

年金受給の窓口の職員は、年金を受給するためには受給資格期間が10年(120月)以上必要であることなど年金制度の説明をします。丈也さんの年金記録の漏れや誤りなどがないかを確認しても、丈也さんの場合、合計して受給資格期間が102月しかなさそうでした。残念ながら、受給資格期間が120月未満だと年金は1円も受け取れません。

「国民年金の保険料を納めた期間に、過去の厚生年金加入期間を足しても102月しかない。これじゃダメだよな」

「あと18月足りないのか。60歳の今から国民年金に任意で加入するったって納める保険料のお金もかかるしなぁ……」

と丈也さんは肩を落とします。

しかし、職員は「60歳からの任意加入がなくても年金は受け取れる可能性があります」と説明します。丈也さんは「え? ずっと払っていないのになぜですか?」と目から鱗。

職員は「この年金事務所の国民年金の窓口へ行ってください。そちらで書類を書けば、保険料を納めなくても64歳から年金が受け取れることがあります。詳しくは国民年金の窓口で相談してください」と続けました。

実際、言われた通りに国民年金の窓口で書類を書いて提出した結果、それだけのことで年金が受給できるようになることが判明しました。一体、なぜそうなったのでしょうか。そして、どのような理由で年金が受けられるようになるのでしょうか。

●無年金も覚悟していた丈也さんでしたが、年金事務所でうれしい事実が判明しました。未納期間が長かったにもかかわらず、年金が受け取れるようになったワケとは? 後編【「諦めなくて良かった!」60代男性の“無年金の危機”を救った「たった1つの書類」】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。