初めての大げんか

それでも2人は結婚式を挙げ、結婚式後も義母の呼び出しは続いた。

ある日義母が、「牧師先生」と行田さんとの面談を決めたと言う。

その夜、行田さんは家に帰らずに街をさまよい歩いていた。ふらふらと歩いていると携帯が鳴る。見ると夫からの着信とメールが何件もある。時計を見ると日付が変わっている。

電話に出ると夫は心配していた様子で、車で迎えに来てくれた。車に乗ると、行田さんは泣きながら、引っ越してきてから義母や義きょうだいたちにされてきたことを話した。

せきを切ったように話し続ける行田さんに対し、突然夫は叫ぶように言った。

「もういい!」

びっくりした行田さんは、何も言えなくなってしまう。

「優芽子ちゃん、母さんや兄貴たちのことボロカスに言うけど、母さんたちがホンマに勧誘してくるん? 何でこんなことになるん?」

それを聞いた行田さんは思わず笑ってしまう。

「何でって、あんたの親兄弟が異常やからやん! 私が話したことはうそじゃない!! 全部あんたがいないところでされて来た! 結婚パーティーで怒鳴るお義母さん見てるはず! それでも私を疑うなら疑えば良い!」

気付けば初めて夫を「あんた」呼ばわりしていた。