1人ではできなくても、2人なら…

谷川と付き合いだして日常が充実してきた智子だったが、資産運用については依然としてスッキリしない状態が続いていた。先日注文した投資信託の売却価格が想定していた価格よりも少し安い値段だったことに、何か納得のいかない思いがあった。「やっぱり、私は投資信託が向かないのかもしれない」と思わず言葉に出てしまったのを、隣にいた谷川に聞かれてしまった。そこで、事情を話すと、谷川は「ETF」を買えば良いとこともなげに言った。「ETF」は上場している投資信託で株式のように時価で購入できるという。NISAの投資対象にもなっているという。「値段を決めて注文もできるから、智子さんが思うように売買できてスッキリするんじゃないかな。まだ、一般の投資信託と比べると商品数が少ないけど、少しずつ増えているし、新しくアクティブ運用の投資信託も上場され始めたから、これから面白くなると思う」と、このところ2人でいると「智子さん」と呼ぶようになっていた谷川が説明してくれた。

智子は、「ETF」について知らなかった。谷川は金融のことに詳しかった。谷川と一緒にいると、お互いに不足する知識や経験を補い合えることが少なくなかった。谷川の判断を信頼できると思えるようになると、それぞれが得意な分野では主導権を持って判断することが当たり前になってきた。その結果、これまでの1人でやり繰りしていた世界が急に広くなったように思えた。1人ではできなかったことが、2人ならできる。それは、智子にとってうれしい発見だった。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。