不公平

結局夫とのペアローンは通らず、夫はマンション購入を断念。

しかし夫は、突然鳥羽さんに「口座を全部開示しろ」と言い出し、株や投資信託、iDeCoでもうけていたことがバレてしまう。

「私には開示させて、自分はしないんです。だんだん高圧的になっていく夫に、私は逆らえなくなっていました」

夫は「不公平だ! 夫婦で貯金額を平らにしろ!」と言い出した。

そこで鳥羽さんが、「じゃあ、財布を1つにしよう!」と言うと、それは嫌な夫。

「じゃあ、車を買うから半分出してくれたら許す」

2シーターのスポーツカーが欲しいと言う。「私たち3人家族ですけど?」と言うと、「家族での外出はお前の車で行けばいいじゃん」と言い、300万円要求される。

この頃の鳥羽さんはもう、正常な判断ができなくなっていたのだろう。「金銭が満たされたら、この人は正常に戻るかもしれない」と思い、300万円渡してしまう。

夫は、鳥羽さんから300万せしめておきながらも、残価設定ローンで購入した。

それからしばらくしたある日、今度は、「スポーツカーは大学付近で使用し、週末は電車で帰ってくるので、帰って来たときに使う車が欲しい」と言い出す夫。

「軽自動車でも買う?」と鳥羽さんが言うと、「軽自動車なんて乗れるか! お前は俺を軽んじている!」と怒り出す。

結局夫のツテのあるディーラーに行き、国産車の乗用車を買うことに。そこでまた残価設定ローンにしようとするため、もう借金を増やしたくないと思っていた鳥羽さんは、全額自腹で出して購入した。

そして単身赴任のように一人暮らししながら大学院に通い始めてから2カ月がたったある週末、帰ってきた夫は言った。

「生活格差がある。自分は狭い家で暮らしているのに、お前たちは広い家で暮らしていて、家族なのにおかしい!」

あぜんとして鳥羽さんは返す。

「その選択したのは自分では?」

すると夫は、

「自分は貯金が少ない、車のローンがある、夫婦で格差があるのはおかしい」

と言う。

「じゃあ、財布を一緒にする?」

「いや、お前は株を持ってるし、それでは平等にならない」

「どうすれば平等なの?」

「お前の貯金が俺と同じくらいになったら」

鳥羽さんが妊娠した頃と同じことを言う夫。さすがの鳥羽さんも堪忍袋の緒が切れた。

「じゃあ、私のお金を渡したら満足なの? お互い財布は別で、私が貯金したお金なのに? そのお金をどう使うの? 私は将来のこと考えて貯蓄したいんだけど!」

それに対し夫は、信じられない言葉を吐いた。

「子どもを産むために休業してブランクがあるお前が、俺に口答えする権利はない!」