不倫疑惑返し

再構築する流れになってからというもの、夫は連日仕事で遅かったにも関わらず、びっくりするほど早く帰ってくるようになる。

しかし夫は娘には優しく接するが、鳥羽さんのことは無視。

「朝早起きして夫の朝ごはん用の弁当を作って、子育てして、仕事行って……。保育園の送迎はもちろん私。帰ってご飯作って片付けして……大変すぎました。復職してから家計も半分ずつに戻されて、これで復縁できるのか? 復縁が私にとって良いことなのか? と悩む日々が続きました」

ある晩のこと。娘が寝たタイミングを見計らうかのように、夜勤中の夫から電話がかかってきた。

出ると、「お前、何か俺に隠してることあるよな? 201☓年(約5年前)の☓月☓日、誰と何してた? 忘れられない夜だったんじゃないか? 暇だったから俺もお前のメールをパソコンで見たんだ」とあざけり笑う。

「201x年の当時、私と夫は付き合っていましたが、遠方から遊びに来る大学時代の男友達に頼まれて、私がネットでホテルの予約をした履歴が残っていたのです。夜に会って飲みに行きましたが、私は実家暮らしだったので泊まっていませんし、自分が泊まるなら自分の名前で予約しますよ。おそらく夫も浮気じゃないことはわかってて、自分が責められた腹いせだと思います。あら探しするために5年も人のメールさかのぼる行為も恐怖だし、この人と夫婦っていうのがもうむなしくなりました……」

大学院へ行く

この頃の夫は、職場の人間関係に悩んでいた。口を開けば、「慕っていた上司が退職し、今の上司とうまくいっていない」と愚痴を言う。

「そんなにつらければ転職すれば?」と鳥羽さんが言うと、「今退職するとその上司に負けたことになる」とかたくな。

しかし、しばらくして夫は慕っていた上司に相談したらしく、「仕事を辞めて大学院へ行けばいい」との助言を受け、あっさり退職した。

そして夫は、「仕事辞めたから家に入れるお金減らしていい? まだ別宅の支払いもあるんだよね」と言い出す。

鳥羽さんは、まず別宅を解約すること。夫が現在家計に入れている10万は、全部夫の生命保険料と医療保険料で、受取人は義両親になっているため、支払いが厳しいなら解約すればいいことを説明。

すると夫はしぶしぶ別邸を解約し、鳥羽さんはほっとした。

時短勤務中の鳥羽さんは、いずれはフルタイムに復帰する予定だったため、「自分の職場がある県内の大学院にしてほしい」と言うも、「いや、絶対自分の出身大学の院に入る」と聞かない。

「なら、娘の面倒は今までよりみてね」と譲ると、「単身赴任みたいな感じで大学のそばに家を借りて生活したい」と言う夫。

結局夫は大学院の近くに住み、鳥羽さんと娘は鳥羽さんの職場の近くで暮らすことに。

新生活への準備が進む中、今度は突然、「俺が住むマンションが狭すぎる。資産にもなるし、もっと広いマンションを買いたい」と言い出す夫。

鳥羽さんはびっくりしたが、「賃貸だと家賃がかかるし、大学院が終わったら賃貸に出せばいいか」と思い、中古の500万くらいのワンルームマンションのサイトを見せて、「こんな感じ?」と尋ねると、夫が求めているのはファミリータイプのマンションだった。

そして家族3人で、夫が欲しいと言うマンションのモデルルームを見に行き、営業とローンの話になったとき、鳥羽さんは夫と半分ずつのペアローンシミュレーションをしてもらおうとした。しかし営業は、

「ご主人は仕事を辞めて大学院生になるのですね? その場合、ご主人はローンが通らないかもしれません……」と言った。

帰りに鳥羽さんが、「私のフルローンにする気じゃないよね?」と尋ねると、「何その嫌そうな顔。ここは家族で頑張るときだろ?」と平然と言う夫。

驚いた鳥羽さんが、「フルローンで払った場合、名義は私になるのよね?」と食い下がると、「いや、名義は俺にしたいんだけど? お前は自分のことしか考えてないよな」と夫は言い放った。