出産後の不協和音
産休に入ってから鳥羽さんは、かねてから関心のあった投資の勉強を始めた。株や投資信託などから徐々にスタートすると、産休に入って5〜6カ月後には軌道に乗り始め、収入がない期間に減った貯金を補うくらい稼げるようになっていた。
やがて鳥羽さんは女の子を出産。夫は出産に立ち会った。
ところが鳥羽さんが産院を退院して自宅に帰ってくると、夫が育児に協力的ではないことが判明。数分は遊んでくれるが、すぐに「俺、やることあるからよろしく」と言って自室に去っていく。
鳥羽さんが産休・育休中でも、夫は生活費を15万円しか入れてくれず、そのうち10万円は夫が自分で入り、受取人を自分の両親にしている生命保険と医療保険に消える。そんな生活に危機感を持った鳥羽さんは、産後半年で職場に復帰。
しかし、共働きだった頃にやれるほうがやるルールでうまくいっていた家事はもう、暗黙のうちに鳥羽さんだけがやることになってしまっていた。
ある晩のこと。娘の夜泣きが始まったため、マンション住まいの鳥羽さんは近隣に迷惑をかけまいと思い、抱っこして散歩に出ることに。
マンションを出ると、なんとまだ帰宅していないはずの夫の車が駐車場にとまっている。仕事帰りに飲みに行くため、車だけ置きに来ていたのだ。
「『今日は夕飯食べる?』とメールしても無視されて、『夕飯いる・いらない』の連絡もなく、『仕事が忙しいんだろう』と思っていたのに、飲みに行っていたということを知ってショックでした。夫の中の私たちの存在が軽すぎて、悲しくてむなしくて泣きました……」
夜勤のある夫は、いつ夜勤があるかのスケジュールを教えてくれないばかりか、飲み会に行く日も連絡さえしてくれない。そのため鳥羽さんは、目を離せない娘の世話をしながら、夫のために夕飯を作り、結局帰ってこないと翌日自分で食べるしかなかった。