夫婦は1人より2人で働くことで老後にもらえる年金を増やすことが可能です。ただし夫婦の年金はお互いに影響しあう部分が大きいため、共働きならではの注意点も知っておいた方が安心と言えるでしょう。今回は年金制度への知識不足によって“全く想像していなかった結末”を招いてしまったある夫婦の事例をご紹介します。

共働き夫婦がともに年金生活へ

65歳になったばかりの由里さん(仮名・女性)は、70歳の夫・英一郎さん(仮名・男性)と暮らしています。由里さんはそれまで社会福祉法人に26年勤務を続けてきていましたが、近々退職することになりました。一方、不動産関係の会社に40年以上勤務していた英一郎さんは5年前に退職していて、既に年金生活を送っています。

「今まで掛けてきた分が年金として受け取れて本当にありがたいよ」

「2カ月に1回の年金の振込日が待ち遠しいんだよね」

英一郎さんは由里さんがまだ外で働いているのをよそに、先にリタイア後の時間を有意義に過ごし、年金暮らしを楽しんでいる様子でもありました。

「働いているからまだ年金はいらない」と手続きを放置

一方、由里さんは「年金は61歳から受けられるそうだけど、65歳になってから受け取った方がいいと聞いている」「給与は低いけど、給与収入があるからなんとかなっている」と言って、年金の手続きをまだしていませんでした。仕事優先もあって、年金のことを後回しにしていた部分もありました。

しかし、65歳直前から「退職も近いし、そろそろ年金が必要になりそう」「一度詳しい話を聞いてみたい」と思うようになり、65歳になって初めて年金事務所に相談に行くことにしました。

その際、夫婦の今後の年金収入を確認しておこうと英一郎さんにも「一緒に来てくれない?」と提案。英一郎さんは「夫婦2人分だとどれだけ年金を受け取れるんだろう。結構楽しみだな」とのんきに期待もしながら、由里さんについて行きました。