<前編のあらすじ>
恵美(55歳)は、次男が就職して家を出たことで、夫の和幸(59歳)と夫婦2人きりの生活になった。話しかけるのは恵美ばかりで、会話はなく無気力な和幸にいらだちはつのるばかり……。「熟年離婚」を考えるようになった恵美は、友人との会話の流れて急にポメラニアンを飼うことになったが……。
●前編:このままでは熟年離婚…息子が巣立ち夫と2人きりになった妻が言った「自分でも信じられない言葉」
あたらしい家族を迎える喜び
それから恵美は仁美のアドバイスを聞きながら、犬を受け入れるために必要なものをそろえる。そこで驚いたのは必要なものごとが多いということだった。
室内犬なのでケージを買えば終わりと思っていたが、もっと多くのものが必要だと知った。それでも恵美は大変だと思う気持ちよりも、圧倒的に「楽しみ」という気持ちのほうが勝っていた。
恵美は仁美と引き取りの話を終えた後、すぐに和幸にそのことを報告した。反対されるかと思ったが、和幸は思ったよりもあっさり認めてくれた。
そして恵美は犬を引き取るための準備を早速始める。
犬を飼うときには必ず病院に行き、ワクチンを注射しないといけない決まりになっている。1回の接種で1万円ほどなのだが、今回は仁美がやってくれるということになった。
そしてペットショップへ犬を迎えるためのケージや食器を買いに行った。店員のアドバイスを聞きながら、グッズをどんどん買い込んでいく。仁美から送ってもらった画像を見ながら、似合う首輪などを探しているのはとても楽しかった。
恵美は長男が生まれたばかりの時にベビー用品を選んでいた、あのときの気持ちを思いだしていた。
またこんな幸せを感じられるなんて、と感激をしながらグッズを選び続けた。すべて満足にそろえ終えると、出費は8万円とかさんだが、恵美は満足していた。