念願の職場での仕事がスタート
そこから、まずは慣れない給食作りの仕事がスタートしました。慣れるまでは大変でしたが、なにせやりたい仕事ができるので、不満など全くない毎日でした。しかも職場の調理員、補助員の方々はさまざまな経験を積んだ人たちなので、話していて楽しいのです。
またシニアにとって得難いメリットもありました。給食作りの時は全身を動かし体力づくりができますから、健康維持のために会費を払ってジムに通う必要もありません。また、テキパキと時間通りに動いたり、グラム通りに計測したりと、常に頭をフル稼働させなければならないので、仕事自体が一種の認知症予防のようにも感じられました。
このように、Tさんは心から楽しめる仕事を見つけたことで、前回の職場とは打って変わって本当に充実した毎日を送れるようになりました。
励みになったリクルーターからの言葉
筆者は「再就職活動では、目標の実現までよく耐えることができましたね。どうしてそれができたのですか?」と聞いてみました。すると、「それはお世話になったリクルーターの言葉があったから」とTさんは言います。
最初の転職で初めて面接まで漕ぎつけた募集で不採用になった時、リクルーターの方がこんな話をしてくれたそうです。
「Tさん、不採用となることはこれからもあるかもしれません。でも、それはたまたま会社の求める経験とかみ合っていなかっただけのこと。Tさんの経験が必要ないとか、求められていないとか、価値がないとかいうものではありません。ただ、Tさんの経験やお人柄と、その会社が求めているものが合わなかっただけのこと。Tさんを求めている会社は他にあり、必ず出会えます。諦めずに頑張って下さい」
「その励ましの言葉は有難かったです。その言葉を聞いてから、上手くいかなかった時もその言葉を思い出して励みにすることで、落ち込むことはなかったのです」とTさん。
Tさんの仕事に対する誠実な態度があったからこそ、リクルーターの方から自然と出てきた言葉なのかもしれませんね。