Tさんは54歳の時に新卒から働いていた会社を早期退職後、専門性を活かせるポジションと、ある程度の処遇を求め、再就職先を探しました。
何とか再就職先を見つけることができましたが、そこはワンマン社長がいる中小企業で、社員の提案が通らない環境でした。矛盾を感じながら、とにかく3年は頑張ろうと思い、他の社員との信頼関係を築いてきましたが、日々募るストレスから会社を辞めることに。
その反省から、今度は自分の専門分野や給与面へのこだわりよりも、ゼロベースで“やりたい分野の仕事”に絞って就活をすることにしました。そのために利用する就職斡旋機関も幅を広げました。しかし、今度は1回目の再就職の時よりもさらに難航してしまいます。
最終的に“178社目”で合格を勝ち取ったTさん。採用された理由とは何だったのでしょうか? また、目標を実現するまでの厳しい道のりをどのように乗り越えたのでしょうか?
●前編:【50代男性が再就職先の退職を決意…2度目の転職で「給与よりも優先」した条件】
担当者の話で判明した採用の経緯
Tさんは初めて会った採用担当者から、意外な話をされました。
「Tさん、実は書類選考では不合格でした。応募していた『調理員』では年齢のこともあり、お断りするつもりでした。しかし職務経歴書に人事部門でのご経験が詳細に書かれていて、その内容が我々にとって魅力的なご経験だったので、その職種で採用することにしたのです」
「それはエリアにある学校での給食調理員の『マネジメント』です。もちろん最初は経験を積んでもらうために実際に現場で給食を作ってもらいます」
Tさんにとってマネジメントは希望していた職種ではありませんでしたが、「間接的に給食に関わっていけるし、しばらくは実際に給食を作ることができる。これはラッキーな流れだ」と思いました。