年金収支はどれくらい赤字なの?

話を年金に戻しましょう。公的年金は赤字が問題になっており、将来は年金がなくなると言う人もいます。年金はどれくらいの赤字なのでしょうか。

保険料収入と給付費だけのシンプルな収支で考えると、公的年金は毎年14兆円前後の赤字になっていることが分かります。約190兆円もの年金積立金を取り崩したとしても、約13年半で枯渇してしまう計算です。赤字は主に国庫の負担で埋められており、年金制度単体では維持することができていません。

【公的年金の収支状況】

 

出所:厚生労働省 公的年金各制度の財政収支状況

この収支から考えると、確かに年金制度の持続性には疑問符が付きます。少子高齢化で現役世代が減りリタイア世代が増えれば、収支はさらに逼迫するでしょう。

年金制度だけで収支を均衡させるためには、保険料収入を引き上げるか、年金給付を引き下げるかのどちらかが必要です。国庫からの補填でカバーする場合は増税も視野に入ります。あるいは現行の賦課方式から積立方式への転換といった抜本的な改革もあり得るでしょう。

いずれの方法もデメリットが強く、国民の反発を招くことが予想されます。それが現在まで年金問題が放置された原因なのかもしれません。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。