新しい分散投資「リスク・パリティ戦略」とは

GPIFのように複数の資産に分けて投資する方法を分散投資といい、基本的にリスクを低減させる効果が期待できます。では、なぜ分散投資でリスクが小さくなっていたはずのGPIFはコロナショックで巨額の損失を計上したのでしょうか。

ポイントは、値動きの大きさの違いです。一般に債券よりも株式の方が大きな値動きが生じるため、均等に投資しただけではどうしても株式の影響が強く生じます。コロナショック時もGPIFは株式と債券におよそ半分ずつ投資していましたが、全体の損益が株式に引っ張られている様子が確認できます。

【GPIFのポートフォリオと期間収益】

※為替ヘッジなし:18.1%、為替ヘッジあり:1.11%

出所:GPIF 2019年度業務概況書

そこで、値動きの大きさを均等にするために考えられたのが「リスク・パリティ戦略」です。世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター」が採用することで有名なこの戦略は、単に投資額を均等にして分散投資するのではなく、値動きの大きさが均等になるよう投資額を逆算して分散投資します。

つまり、リスク・パリティ戦略では値動きが小さい債券の割合が高く、反対に値動きが大きい株式の割合が低く設定される傾向にあります。こうすることで、株式がポートフォリオ全体に与えるインパクトが均等になることが期待できます。

最近はリスク・パリティ戦略を採用する投資信託も増えてきました。自身で同様の戦略を行うことは難しいので、安定的に運用したい人はリスク・パリティ型の投資信託を選んでみてはいかがでしょうか。