遺された家族の生活を保障するための遺族年金。受給する人に“妻(夫を亡くした女性)”が多いということは前回(受給者の98.1%は女性という実態…受給要件が男女で異なる「遺族年金」のルール)取り上げたとおりです。
しかし、この遺族年金に関して「妻も働いている場合(つまり、共働きだった場合)遺族年金はもらえない」と聞いたことがあるかもしれません。
そのうわさは果たして本当なのでしょうか。今回は、夫に先立たれた妻が、いざ遺族年金を受給する際の「受給額」について深掘りします。
収入があっても遺族年金は受けられる?
そもそもの確認とはなりますが、亡くなった人に死亡当時、生計を維持されていた遺族が遺族年金の対象となります。生計維持とはどういう要件かというと、①生計同一要件と②収入要件を指します。
①は亡くなった人と遺族が同一住所か、あるいは住所が別でも亡くなった人から遺族へ生前経済的援助や音信があったことを指します。
②は遺族の収入が基準額を満たしているかの要件です。前年(前年分が確定していない場合は前々年)の収入が850万円未満または所得が655万5000円未満であればこの要件を満たせます。また、前年(あるいは前々年)に、この基準額以上の収入と所得だったとしても、おおむね5年以内にいずれかが基準額未満に下がる見込みであれば収入要件を満たす、とされています。
つまり、遺族が働いていたとしても、その収入が“それほど多くなければ”遺族年金の受給対象となります。
ここまでは、遺族基礎年金、遺族厚生年金共通の話ですが、前回お伝えした通り、実際に遺族年金を受給するのは、高齢期の妻が大半です。
それはすなわち、「公的年金のみが収入という暮らしをしている妻が、遺族厚生年金を受け取る」ケースが現実には大半を占めることでもあります(遺族基礎年金は子が高校生以下であることが条件なので、割合的には多くないのが実情です)。