前回(障害者手帳は必要? 抗がん剤の副作用も対象? 万が一の時の支え「障害年金」とは」)、障害年金について取り上げ、基本的な制度の概要や障害者手帳がないと受給できないわけではない点について説明しました。
お読みいただいた方の中には、「でも、障害ってずっと同じ状況が続くとも限らないのでは……?」と気になった方もいらっしゃることでしょう。逆に、“障害”という響きから、「一度受給の認定を受ければ、一生涯続くのでは?」とイメージする方もいるかもしれません。
今回は障害年金の「更新制度」のほか、老齢年金との併給調整について解説したいと思います。
障害年金には更新制度がある!?
障害年金は、障害等級(障害基礎年金が1級・2級、障害厚生年金が1級・2級・3級)に該当し、その他必要な要件も満たし、障害年金の請求をすることによって受給できるようになります。障害等級に応じて年金額や年金の種類も異なり、障害等級が重くなるにつれ、受給する額も多くなる仕組みとなっています。
しかし、障害年金を受け始めてから、時が過ぎるにつれ、その障害の状態が変わることもあります。状態が良くなることもあれば悪くなってしまうこともあるでしょう。障害年金の制度も当然そのことは考慮していて、障害年金の障害等級の認定には永久認定と有期認定に分かれています。
有期認定
精神の障害、内臓の障害は有期認定となります。最初の年金の請求時に診断書を提出することで障害等級の認定が行われますが、有期認定の場合はその後1年ごと、3年ごと、5年ごとなどで診断書(障害状態確認届)をもって障害状態の確認を行い、その時の障害状態に応じて今後の障害等級や年金が決まります。つまり、更新制というわけです。
以前と比べ障害が重くなったと判定されれば、重い等級と判定され、その結果年金額が多くなり、逆に軽くなったと判定されれば年金額が少なくなったり、障害等級不該当で支給停止になったりします。そのため、ずっと同じ年金を受け取るとは限りません。
また、更新の際の診断書を提出しないと、実際は障害等級に該当している人でも年金の支給が一時差し止めとなりますので、決められた期限(誕生月の末日)を守って提出する必要があります。
永久認定
一方、手足の切断等の場合は永久認定されます。永久認定の場合は更新制度がありません。