年金の受け取り方を変えることも

障害厚生年金は障害認定日(原則初診日から1年6カ月経過日)の月までの厚生年金加入記録で計算されるのに対し、老齢厚生年金は障害認定日の翌月以降の当該記録も計算対象となります。

そのため、障害年金受給開始後も会社勤めを続け厚生年金保険料を払い続けた結果、老齢厚生年金が多くなると、障害厚生年金は受け取らなくなることもあります。他に障害厚生年金、老齢厚生年金それぞれ65歳未満の配偶者がいる場合に加算される加給年金はその加算額が異なる※1ことも選択方法を変える契機となるでしょう。

一方、障害基礎年金の2級と老齢基礎年金の満額が同じ額※2でため、障害基礎年金が1級(2級の1.25倍の額)である場合や老齢基礎年金が満額でない場合などの理由で、老齢基礎年金より障害基礎年金を選択することも多いかと考えられます。

従って、障害基礎年金と障害厚生年金1級、2級で受けてきた場合でも、65歳から障害基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせで受け取り方を変更するケースも多いにありえます。

※1 2022年度の場合、障害厚生年金の加給年金は22万3800円、老齢厚生年金の加給年金は特別加算額込みで38万8900円。

※2 2022年度の場合、77万7800円。

3級の場合は65歳から老齢年金の受給をすることに

障害厚生年金は老齢基礎年金や老齢厚生年金と一緒に受け取ることができません(前ページにて説明した通りです)。

3級で障害厚生年金のみ受け続けていた場合は、65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金の2階建ての老齢年金で受け取るようになり、代わりに障害厚生年金は受け取らなくなることも多いでしょう。

他に、障害年金は非課税であるのに対し、老齢年金は雑所得として課税対象となる点も含めて選択方法を決めることになるでしょう。

以上のように、受け始めた障害年金をずっと受け続けることになるとは限りません。今後将来の障害の重さ、受けられる障害年金の種類や額、老齢年金次第では変わることになります。年金額が変わることも十分想定して今後の年金収入を考えておくことが大切です。