一家の大黒柱が亡くなった場合、遺された家族はこれからどのように生活したらよいか不安を感じることでしょう。まさにそんな不安に寄り添うものとして、年金制度には遺された家族の生活を保障する遺族年金があります。
遺族年金と聞くと、女性が受ける年金とイメージされる方も少なくないようですが、真偽のほどは? 制度とともに解説します。
遺族年金を受け取っている人の98.1%が女性という実態
遺族年金には遺族基礎年金、遺族厚生年金があり、亡くなった人に死亡当時生計を維持されていた遺族が対象になります。ただ、遺族なら誰でも受け取れるわけではなく、優先順位の高い人が受給します。
遺族基礎年金は①配偶者、②子をその対象遺族とし、①の配偶者は「子がいる配偶者(子とは②に該当する子)」が条件で、その優先順位は①②の順となっています。
一方、遺族厚生年金は①配偶者・子、②父母、③孫、④祖父母をその対象遺族とし、遺族の優先順位は①②③④の順となります。遺族厚生年金の配偶者は子がいることが条件ではありませんが、①の中では「子のある配偶者」「子」「子のない配偶者」の順がルールです。
こちらを見る限り、“ルール上”は男性も女性も対象になりうることはお分かりいただけると思います。しかし、遺族年金を受け取っている人の98.1%(5328万人)が女性で、しかも、97.4%(5288万人)が死亡した人の妻となっています※。実態を見れば、ほぼ女性に支給されている年金となっています。
※ 厚生労働省「年金制度基礎調査(遺族年金受給者実態調査)令和2年」より。なお、同調査では、旧厚生年金保険法の遺族年金の受給者、寡婦年金の受給者も含んだ数字となっています。また、受給者となる遺族のうち子と孫は調査対象とされていません。